理念

なぜタイポグラフィにこだわるのか?

わたしが創作活動を始めた時には、すでにタイポグラフィに関わっていました。
わたしが所属していた文芸部では、InDesignを使って文芸部誌を作っていたのです。
その学校の文芸部は、毎年全国のコンクールに名前が出るような学校でした。
全国大会などで外に出向き、全国の文芸部誌をみてみると、やはり良い文芸部誌は中身だけではなく「読みやすさ」にも力を入れています。
製作環境はWordから一太郎、InDesignなど学校によっては違いますが、「読みやすさ」という点を蔑ろにしているところはなかったと思います。

大学に入ってからも創作活動は続けました。
北海道出身のメンバーによる文芸同人「北十ほくと」を立ち上げ、編集長の役割を担いました。
最初の1年は準備期間、2年目には『砂時計』という同人誌の創刊をすることができました。

同人誌は、コアなファンがいない限りは、まず手に取ってもらわないことには読者を得られません。
そして、手に取ってもらった後、「読んでみたい」と思ってもらわなければいけませんでした。

わたしは、読んでもらうためのアプローチは2つあると考えています。
1点目は内容に魅力があるかどうか。これはいうまでもありません。
そして2点目、手に取った時に読みたいと思うようなデザイン・レイアウトをしているか。
文学フリマなどの即売会イベントに参加してみて感じたのは、「中身はいいのに、レイアウトが読みづらく、欲しいと思えない・買っても進んで読もうと思えない本が存在する」ということでした。
魅力的な作者、魅力的な内容であっても、欲しいと思えない・読みたいと思えないというのは残念なことです。
そして差別化をするのであれば、そこしかないと思いました。

そこからわたしは、タイポグラフィに力を入れていくことになります。

魅力度が同じ本が2冊あった時、どちらが読者を得やすいでしょうか。
・魅力的だが、読みにくい本
・魅力的であるし、読みやすい本
いうまでもありません。

もちろん、一番大事なのは内容です。
そこに一番力を入れるのは理解できます。
しかし、内容がどれだけ良くても、手に取られなかったら意味がありません。

特に気になってしまうのは、「行間」です。
ルビや傍点が入ったときに行間が空き、ガタガタになってしまっていると目立ちます。
InDesignなどの専用のソフトウェアを使わずとも、Wordの「行間」を「固定値(11ptのフォントのとき、20pt程度)」にするだけで随分変わります。
また、行間が広すぎると、内容が薄く感じられてしまい、もったいないです。

他にもフォント選びや字間、約物など、こだわろうとすればとことんこだわれるというのがタイポグラフィの魅力でもあります。

このサイトを開設したのは、もちろんお仕事をいただくためでもありますが、良い本を多くの人に届けたいという気持ちからです。
ご依頼をいただけるのが一番嬉しいですが、読みやすい本を作るお手伝いもできる限りしたいと考えています。
そのための情報発信も、このサイトを開設した理由の一つです。

人権の視点

わたしの立場

本サイトでは、人権の脅威となる人物や案件はお受けしません。
表現の自由は無制限の自由ではないからです。
誰かを傷つけるよう表現の自由はありませんし、それに加担することはできません。
これはわたしだけではなく、創作をする全ての人の責任だと考えています。

アクセシビリティについて

本サイトでは、総ルビやALT(alternative text)など、アクセシビリティの向上のため取り組みに賛同しています。
ルビ内容の指示やALTの作成のご協力いただく前提ではありますが、作業に追加料金はいただいておりません(ルビ内容の作成、ALTの作成も当方が行う場合(つまりライティングが発生する場合)は追加料金をいただきます)。
本来、組版におけるそうした作業は製作コストが発生します。ですが、そのコストはマイノリティが負うべきものではなく、社会が負うべきです。
ご賛同いただける場合は、その旨、お申し付けください。

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